どんぶり勘定のまま10年経つと、こうなる
2026.10.08

「忙しいのに、なぜかお金が残らない」
「売上はあるはずなのに、通帳を見ると不安になる」
そんな感覚を、ずっと抱えたまま仕事をしていませんか?
実はそれ、“頑張り不足”でも“景気のせい”でもありません。
原因は、ほぼ間違いなく“どんぶり勘定”です。
私はこれまで、本当に多くの整備工場を見てきました。
元気な工場、苦しい工場、これから伸びる工場、そして――
「気づいたら、取り返しがつかなくなっていた工場」。
今日は少しだけ、現実的な話をします。
怖がらせたいわけではありません。
考えるきっかけになってくれたら、それで十分です。
どんぶり勘定は、今すぐ困らないのが一番の罠
どんぶり勘定って、「数字を見ていない」ことではありません。
・売上はだいたい分かっている
・通帳の残高も見ている
・税理士さんから試算表ももらっている
ここまでやっていても、どんぶり勘定の工場は本当に多い。
なぜか。
それは、“判断に使える数字”を見ていないからです。
10年前、元気だった工場の話
ある工場の社長の話です。
10年前。
車検も入る、修理も多い、スタッフも揃っている。
地域では「腕がいい工場」として評判もありました。
社長は言っていました。
「忙しいし、まあ何とかなってる」
でも、数字はほとんど見ていませんでした。
・車検1台いくら儲かっているか → 不明
・整備士1人あたりの粗利 → 不明
・代車がいくらコストを生んでいるか → 不明
そして10年後。
売上はほぼ横ばい。
人は減り、設備は古く、資金繰りは常にギリギリ。
社長はこう言いました。
「こんなはずじゃなかった」
正直、こうなる工場、珍しくありません。
整備工場経営で“最低限”見るべき数字
ここからが本題です。
難しい話はしません。
最低限、これだけは見てほしい数字です。
① 売上ではなく「粗利」
まず、ここ。
売上を追いかけている工場ほど、苦しくなります。
見るべきは
売上 − 原価 = 粗利
・車検1台あたりの粗利
・一般整備1時間あたりの粗利
・外注作業の粗利
これが分からないまま
「忙しい」「暇だ」を語るのは、正直かなり危険です。
② 1人あたりの生産性(整備士1人=いくら稼いでいるか)
感覚で
「うちは人が足りない」
と言っていませんか?
見るべきは、
整備士1人あたりの月間粗利
これを見ると、
・本当に人が足りないのか
・仕事の流れが悪いのか
・作業単価が低すぎるのか
全部、見えてきます。
③ 車検1台あたりの利益構造
車検台数だけ追っている工場は多いです。
でも、
・基本料金
・追加整備
・部品粗利
・外注費
これを分解して見ている工場は少ない。
「車検が忙しい=儲かる」
これは、完全な思い込みです。
④ 固定費(特に人件費と代車)
どんぶり勘定の工場ほど、固定費を“まとめて”見ます。
でも本当は、
・人件費率
・代車1台あたりの月間コスト
・保険、リース、サブスク
ここがじわじわ経営を圧迫します。
気づいた時には、もう削れない状態になっているケースも多い。
⑤ 手元資金(キャッシュ)
最後に、これが一番大事です。
利益が出ていても、キャッシュがなければ会社は回りません。
・あと何か月、今の状態で耐えられるか
・売上が落ちたらどうなるか
これを把握していないのは、目隠しして運転しているのと同じです。
数字を見る=経営が冷たくなる、ではない
ここでよく言われます。
「数字ばかり見ると、人が見えなくなる」
私は、真逆だと思っています。
数字が分かるからこそ、
・無理な働かせ方をしない
・正当な評価ができる
・給料を上げる判断ができる
人を守るために、数字を見る。
これが、私の考えです。
どんぶり勘定をやめる第一歩
全部完璧にやらなくていいんです。
まずは、
・車検1台の粗利
・整備士1人あたりの粗利
・毎月の固定費
・今の手元資金
この4つだけでいい。
数字が見え始めると、不思議と「打ち手」が浮かびます。
最後に|私が伝えたいこと
私は、「数字に強い社長になれ」と言いたいわけではありません。
ただ、
**「知らないまま10年経つ怖さ」**だけは、知ってほしい。
真面目で、現場を大切にして、
お客さんにもスタッフにも誠実な工場ほど、
どんぶり勘定で苦しくなっている現実を、何度も見てきました。
だからこそ。
「うちも一度、ちゃんと見直した方がいいかも」
そう感じたなら、それはもう、立派な経営判断です。
一人で抱えなくていい。
一緒に整理すれば、必ず道は見えます。
整備工場の未来は、数字を味方につけた工場から変わっていく。
そんな工場を、私は本気で増やしたいと思っています。